携帯電話や
パソコンのなかった
時代の方が
ゆたかだったと
おもいませんか？
心配だから、
こどもに携帯電話をもたせるの。
うん、ひとけのない山の中ならわかる。
こどもに携帯電話を
もたせれば、
もたせるほど
周りの大人は
助けなくなりますよ。
だって、
携帯電話があるんだもの。
周りの大人なんて信用していません。
だって、
ＧＰＳで居場所わかりますから。
危険なときは
携帯電話のひもをひっぱりなさい。
いやいや、その前に
叫ばせなさい。
暴れさせなさい。
「たすけて!!!!!」って。
泣いてもはずかしくないよって、
それを教えることの方が先。
大丈夫。
全身をふりしぼれば、
気付いてくれるって、
助けてくれるって。
世の中捨てたもんじゃない。
携帯電話・パソコンのメールで
言いたいことが伝わる？
そりゃ、伝わるさ。
言いたいことはね。
でもね。
大切だよね。
自筆による手紙の手渡し。
直接会ったときの会話。
機械的なきれいな文字では
伝わるはずのない
ことばを、
きもちを、
伝わったように
思い込むようにしていませんか？
「声や手紙では
届けることができなかったことを
メールで伝えることができました」
って、
たぶんその程度だよ
伝えられた方も。
そして、そんな文字には
たぶん、疑いの念も生じる。
『ほんとうかよ』って。
手紙もそう。
印刷された文面より
自筆でたった一行
『おひさしぶり』
って書くだけで
相手の様子も伺える。
〈あいつも元気そうだな。〉
書かれている文字・絵柄だけでない
なにかを察することができる。
だからこそ、
手描きにこだわる。
ＣＧがきれいなのも、
手が汚れないのも、
場所を汚さないのもわかる。
でも、
絵って
汚しながら
描くものだよね。
はじめは、
その汚すのが楽しかったよね。
楽しかったのは
伝わるかな？
伝わるから、
まわりのみんなも
喜んでくれるんだ。
そう、それが
原点。
その分、気持ちも入るし、
絵を眺めた人にも伝わるものがあるんじゃないかな?
だから、できるだけ
手描き・自筆にこだわろう。
多少線が荒れていても良いじゃない。
手がそういう線を引いたんだよ。
だから、
目を惹くんだよ。
だから、
伝わるんだよ。
そりゃぁ、
何が伝わるか
知らないけど、
明らかに
手描きの絵とそうでない絵を
見た人の表情が違うもの。
写真とか文字をきれいに
印刷された年賀状よりも
手書きの
ぶっきらぼうな
「あけましておめでとう」
の方が眺めている時間がまちがいなく
長いものね。
完成されたものは
だれも見ないよ。
だって、つまんないもん。
みなれた当たり障りのない
知らないきれいな文字なんて
どうでも良いもん。
そういうもんだよ。
面倒だから、
時間がないから
出さないと失礼にあたるから
印刷にしよう？
大丈夫。
時間はあるよ。
面倒？
じゃ、送んなきゃ良いじゃん。
そのくらいの相手なら。
何も伝わらないものを送る方が
失礼だよ。
どうせ、3秒見ただけで
どっかにしまわれてしまうよ。
だから、ゆっくりでも
遅れてもよいから、
一秒でも多く眺めてもらえるものを送ろうよ。
眺めてもらうだけで
どんどん気持ちは伝わるよ。
『ひさしぶりにみんなと会いたいです』
って。
わたしは、
できるだけ伝えていきたい。
肉筆で文字・絵柄以上のものを。
だから、
印刷したい場合にも、
もとは手書き。
これまでも、
そしてこれからも。
そういうこと。
伝わったかな？
伝わらないね。
こんな文字じゃ。
【BGM…坂本龍一/Field Work + Steppin' Into Asia + The Arrangement】
